ボコーダーとは?

「 ボコーダー 」 は、1939 年に、物理学者の H. Dudley 氏によって、音声通信の圧縮技術の 1 つとして発表されました。この技術を応用して、人間の声でメロディーやハーモニーが演奏できる楽器 「 ボコーダー 」 が誕生しました。もちろん、人間の声に限らず、どのような音源でも良いのですが、ボコーダーが人間の発声機構を出発点に発展してきたので、ここでは発声のしくみについて説明します。
発声の音源になる 「 声帯 」 の振動波形は、発音の強さ、音の高さ、個人差を除けば、発音の違い ( たとえば a と o ) でほとんど変化がありません。では、人間の声とか言葉が、言葉として聞こえるのは何故かというと、「 声道 」 つまり、咽の形や骨格、口の動きなどで生じる、さまざまな共振 ( フォルマント ) や、付随して発生する 「 摩擦音 」、「 破裂音 」、「 鼻子音 」 といわれる音の時間的な変化によって特徴が付けられるためで、声帯の振動波形の影響は、比較的少ないとされています。
ボコーダーは、こういった発音の時間的な変化を分解して、電気的に咽の形や口の動
き ( フォルマントの動き ) を合成し、声帯の変わりに、楽器で演奏した楽音信号 ( キャリア ) をフォルマントでモジュレート ( 変調 ) して、発音するものです。こうして発音されるボコーダーの音声は、人間というよりは SF 映画に登場するロボットに近いものになります。
ご参考:
VP-550 では、上記のような人間の歌声を作り出す機能を、ボコーダーの発展形と捉え、
「ボーカル・デザイナー (声をデザインする製品、の意味)」 と称しています。