シンセサイザーの「フィルター」とは?
同じ音の高さの音でも、楽器が変われば違って聞こえます。
アコースティック楽器を例にとっても、トランペットの 「 ソ 」 とオーボエの 「 ソ 」 は違う音です。
これは、楽音に、聴感上の音の高さを決める成分 (基本波) 以外の周波数成分 (倍音) が含まれているからです。
倍音の含まれ方の違いを、人間の耳が 「 音色の違い 」 として聴き分けます。
シンセサイザーの音源で、様々な音色を作り出すプロセスを考えてみます。
まず、音作りのおおもととなる、波形を生み出す 「 オシレーター 」 部では、矩形波や正弦波、
サンプル波 (生楽器音などをデジタル記録したもの) などの波形の選択によって、
音色 (倍音の含まれ方) のバリエーションを作り出します。
しかし、シンセサイザーらしい多彩な音色を得るには、それらの波形をさらに加工する必要があります。
具体的には、ある特定の周波数をさらに削り落としたり、強調したり、削り方を時間的に変化させて、
様々に音に色つけを行ないます。このようなプロセスを経て、ようやくシンセサイザーらしい音色が作られます。
この役割を果たすのが 「 フィルター 」 と呼ばれるセクションです。
フィルターの設定によって、「 明るい 」 「 きらびやか 」 「 こもった 」 「 太い 」「 柔らかい 」
などの、音色を特定する、様々な音のキャラクターが作り出されます。
ご参考: ローランド製品で使用される用語について
一部のローランド製品では、音源部のオシレーター、フィルター、アンプ、それぞれの
セクションの呼称に、次のような用語が使用されています。
セクション | ローランド製品での呼称と意味 |
オシレーター | WG (Wave Generator) 波形を生み出す発振器
|
フィルター | TVF (Time Variant Filter) 時間軸上で値 (パラメーター) が変化するフィルター |
アンプ | TVA (Time Variant Amplifier) 時間軸上で値 (パラメーター) が変化する増幅器 |