構造が異なるので、全く同じではありません。
【アコースティックのチェンバロの鍵盤に非常に近い部分】
- 鍵盤の深さ(ストローク)、
- クリック感(弦を引っ掻く感じ)
- 初荷重(初期の鍵盤の重さ)
- シャープキー(黒鍵)の形状やサイズ
【アコースティックのチェンバロと異なる部分】
- オクターブピッチ(鍵盤幅:ピアノと同じ幅。チェンバロでは多少狭い鍵盤がある)
- ナチュラルキー(白鍵)の長さ(ピアノやオルガンに近い。チェンバロでは短いものが多い)
- 多弦時の重さ変化(C-30 では弦の本数に関わらず一定で演奏しやすい。大型のチェンバロでは弦を重ねると抵抗感が増え、重くなる)
- 鍵盤を押し切った後も、クリック感の構造上反力が多少残る点
アコースティックのチェンバロ鍵盤も標準や決まり事はなく、一台一台いろいろな形状、タッチが存在します。常に、自分の演奏している鍵盤の特性や違いを意識し、そのチェンバロの鍵盤の特性に応じた弾き分けができるように練習しておけば、様々なチェンバロを前にしてもきちんとした演奏ができるようになります。
C-30 の鍵盤は、やみ雲にチェンバロの鍵盤をマネするのではなく、チェンバロ演奏に大切なタッチや表現をきちんと再現できる部分に注力して開発された、独自のチェンバロ専用鍵盤です。逆に演奏しにくくなるような部分は盲目的にマネするのではなく、演奏しやすさ、フレージングやアーティキュレーションがしやすいように考えています。
従って、特にピアノ経験者が C-30 を演奏した場合、アコースティックのチェンバロよりも演奏しやすいと思われます。逆に言えば、C-30 の鍵盤を弾きこなせても、アコースティックのチェンバロ鍵盤ではうまく弾きこなせない可能性はあります。(弦を引っ掻く感触や、白鍵の奥行きの短さや幅の違い、弦を重ねたときの重さなど)
しかし、他の鍵盤楽器(ピアノやオルガン、電子キーボードなど)でチェンバロの曲を練習するよりも、はるかにチェンバロに近いタッチで最も重要なフレージングやアーティキュレーションの練習ができ、アコースティックとの違和感も、これら他の鍵盤楽器よりもはるかに少ないと思われます。
従って、アコースティックのチェンバロを演奏するための練習のステップとしても非常に有効です。